「・こたつ問題を問題化する集団のありかたについて
僕は(以前にも同じことを書いたけれども)、ダメなアート作品には単にダメだと罵ればいいのであって、何もそのダメさを建築のプロが業界を代表して 「建築の問題」として引き受けなくったっていいじゃんか、とは思う。先日、大山さんが、あれは建築業界内部の問題をわざと外部に発信する(ように見せる) ことで、逆に内部の結束を固めようという意図があるみたいに聞こえる、と言っていたのだが、そういう、「いや、誰もそんなこと頼んでないけど」という困惑 というか、建築系の人たちというのは世界が建築系だと思い込んでるんじゃないかという違和感はよくわかる。
もっとも、そういう「引き受けたがり」は建築の業病みたいなもので、地縁共同体問題から地球環境問題まで、その時その時に脚光を浴びている様々な問 題を我が事のように悩んで「建築の課題」として背負い込もうとする抜きがたい傾向が建築にはある。そこがまあ、鬱陶しいところでもあり、愛すべきところで もあるんだけれども。むろん、それは建築だけではなく、ある「社会的使命」を自覚している専門領域はみんな、多かれ少なかれそうした傾向を持っている。
あえてこれを議論の俎上に乗せる、「自他ともにそれが建築系だと認知された状況で異種格闘技的アート祭りに貧相なものを出展することの責任と、それ を看過できない背景」については、五十嵐隊長から直接、少し話を伺った。もちろん議論の余地はあるにせよ、分からない話ではなかった。来るシンポジウムで も言及があるとのこと。とはいえ、僕はどちらかというと、建築系をアート的に鍛える議論にとどまらずに、「村おこしアート祭りシステムの有効性と是非」に 議論が発展すると面白いなと思う(そうしないと、作者もちょっと可哀想だ)。
・こたつ問題を問題化する「取り上げ方」をめぐる議論について
僕自身は心情的に山田さんの側に立っている。ということをまずは表明しておきたい。そのうえで。
山田さんの「喋り」調子を批判(非難)する意見の「根拠」として、しばしば「ラジオという媒体で配信するべき内容の水準に達していない」から、と述 べられているのを見かける。「むしろ語り方問題のほうが深刻だ」とまで表明してるものもある。でも「ラジオ」と銘打っているものの、あれは電波で番組を放 送する従来の意味での「ラジオ」じゃなくて、音声ファイルをブログに掲載してるだけの「ポッドキャスト」である。あれを「公共の」というなら、細かい内容 まで検索にインデックスされて蓄積されてゆくブログやBBSのほうがよほど公共的な情報であって、かつよほど低俗で劣悪な誹謗中傷に満ちているが、それに 「作法」を要求するのはまるで「ブログだって公共のネットに公開しているなら、そのへんのマクドナルドでケータイで入力なんかするな。机に向かって正しい 姿勢でテキスト作成しろ」と言っているみたいに聞こえるが。
というか、これ、そういう意味でわざと「ラジオ」というタイトルを入れているとしたら、なかなか巧妙なツカミだけれども(いや、そこまでは考えてい なかったかもしれないが)、少なくとも今回、この「ラジオ」という言葉は、批評のありかたとかいう議論以前に、「それぞれのメディアにふさわしい内容と作 法とノリ」について、僕らのイメージは意外に強固で保守的だ、ということを露呈した。と思った。
まあ、ディテール侍のあれはもう「芸風」であって、キライな人はキライだろうが、そうなら「あの喋り調子は嫌いだ」と言えばいいと思うな。「ダメなアート作品には単にダメと言えばいい」というのと同じ話で。
追記:
ネット上の反応を見て、おもしろいと感じたのは、どうも若い人のほうが、批評について保守的なイメージをもっていること。
TWISTED COLUMN
批評についてのイメージもそうだし、若い人ほど、引用の仕方だとか語り口だとかに対して、「ネットリテラシー」とか「モラル」などと言って、察してやれよ 的な物言いをしているような気がする。オヤジが暴走しているのか、キッズがやけに射程距離の短い「空気読む世代」なのか。もちろん、オヤジをオヤジたらし めるのは、多少の社会秩序にもとることをしても周囲には叱る人なんかいない、という開き直りというか甘えでもあるのであって、キッズもあと15年もすれば みんな空気が読めなくなってくるのかもしれないが。
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コメント
あ、podcastleはすばらしいと思います。ほかの検索エンジンもすばらしい。
怯えるかのような態度はイヤ。
「はい建築系ラジオです」→「ううう体験して出しです。」どういう空耳なんだ。
下手に訂正しないで、まずはあの「自動テープ起こし」の文章だけ読んで、なんとか意味をつかみ取る、という鑑賞法もありますね。
「Podcastleのテキストだけからオリジナルのストーリーを想像して絵にする」:デイリーポータルの企画っぽい。
Podcastもインデックス可能な時代なのです。
http://podcastle.jp/
podcastleが登場したときに
http://minken.net/mt/archives/000582.html
こう思ったんですが、空気読んで、検索エンジンに怯えて暮らすのはちょっとイヤですよね。