1685:こたつ問題 (Twisted Column)

「*建築系ラジオ+アートスタディーズによる越後妻有トリエンナーレの三泊四日のツアーを行う。
・2003年は一泊、2006年は二泊、今回は三泊です。ただ、2009年は、新しい建築も登場していないし、目玉となる大がかりなアートの新作も少ないために(新作の規模が小さい)、リピーターとしてはやや寂しい。継続して参加している彦坂尚嘉さんの田麦のプロジェクトは変奏させながら、作品を展開し、古民家を解体させるほど、建築的になっていく。日没後にランプで照らされた光景はデヴィッド・リンチの 映画に出てくるような、ぞくぞくする闇に浮かぶ異空間キャバレーとなる。杉浦久子さんの雪ノウチも三度目で、まわりの敷地の変化を思いだしながら、鑑賞。 越後妻有を繰り返し訪れることで、ああこの空き地にあの作品があったとか、今度は作家がこうした手法になったとか、記憶との関連で楽しめるようになった。
・廃屋×アートによるお化け屋敷的な展示は、定番となったが、今年はアンティエ・グメルスが ブナ林を妖怪の空間に変えていた。木村吉邦による江戸のオルタナティブ・テクノロジーをテーマにした理系アートは、越後妻有的ではないが、好みでした。な お、工場跡地に展開した瀧澤潔さんの作品「津南のためのインスタレーション ーつながりー」には、「表層と現象:瀧澤潔のインスタレーション」というテキ ストを寄せました。現地にて配布しています。
・さて、あまりこういうことは書きたくないのだが、mvrdvの農舞台の真横にある大杉哲也+伊藤友隆/pop-up-tokyoの「みんなのこたつ」は、とても良くなかった。個人的に、tepcoの 「アイデア」・コンペの審査員として彼らの案を二度も入賞させたことがあり、そのプレゼンテーション能力の高さはすばらしいと思うのだが、その一方で実際 にモノをつくるという現場においてすさまじい乖離を露呈している。出来ないこと/こだわりがないことを提案するのも良くないし、それを公募で選ぶのもまず いかもしれない(自省をこめて)。なぜ、この作品がまずいのか、いや建築界の問題でもあるのだが、これについては建築系ラジオを収録したので、後日配信し ます。とりあえず、これを「こたつ問題」と呼ぶことにした。」

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