Twisted Columnの最近のブログ記事

1720:気がつくと10年(Twisted Column)

「・こたつ問題配信への批判は散見されるが、自覚的に行われた「欠席」裁判を叩きながら(相手に直接言わないのはひどい!と述べている)、その書き込み自体が公開されている建築系ラジオのアドレス宛にメールをださず、欠席裁判を無自覚に反復するタイプが多い。
・ 藤村龍至くんがやっているような直接相手へのリンクは張らないことにするが、あるブログで、ものすごい上から目線で、みんなのこたつと、こたつ問題配信を馬鹿にしているものがあった。これだけならともかく、自己紹介で現代の建築思想と言説の弱体化を目の前にしていろいろ考えており、コメントやメールを歓迎と書いてあったので、松田達くんがコメントを入れ、9/28のイベントへの参加を打診したところ、数日たってもコメントはアップされず、メールの返事がない。建築系ラジオの発言を幼稚と切り捨て、学生でももう少し議論をふくらませることができるとまで言ってみせるなら、完全な無視と沈黙ではなく、せめてなぜ参加しないかという返事くらい書くべきだろう。ラジオの討論会自体が建築界の現実だとため息をつくならば、欠席裁判批判と同様、この対応自体が「建築界の現実」を反復していないか?日記を開設し、目立つものを叩くだけなら簡単。自分で社会に発信できる言説/メディアを出していくか(スノッブな態度で年寄りみたいに、いまどきの批評を嘆くだけの傍観者的な「秀才」よりも、突っ込みどころはあるけど、参加するプレーヤーとして具体的なアクションを試みる YSSKやY-PACの方を支持する)、石川初さんやモサキのレベルまで書かないと、創造的な批判にならない。」
http://news-sv.aij.or.jp/jnetwork/scripts/view30.asp?sc_id=2372

*こたつ問題について。
・この問題は、二重化していて、みんなのこたつ自体が良 いか、悪いか、そして建築系ラジオでこうしたコンテンツを配信したのは良いのか?というトピックに分かれている。前者については擁護する意見が皆無で、こ の作品自体が批判を誘うメタフィクション的な狙いがあったという深読みくらいしかない。後者がおそらくホットで、現時点では、mosaki のテキストがベスト。
http://blog.mosaki.com/?eid=905277#sequel
・ ただし、僕は混在したハチャメチャぶりこそがラジオの醍醐味だと思っており、mosakiの意見とは違う(座談会だって相当リライトしてしまう紙メディア や、事前にかなり台本が作成されるNHKなど、既存のメディアとまったく同じ評価軸を導入するべきではない)。むしろ、彦坂さんの山田さんに関する最新の コメントに近い。
http://hikosaka2.blog.so-net.ne.jp/
・ もっとも、僕もこの配信に一部問題があることも思っていて、それに関しては、9/28のシンポジウムで述べます。ネット上では僕が考えているのと同じ指摘 している人はいないようなので。下記が、こたつ問題にケリをつけるシンポジウムの告知です。iccで開催するコープヒンメルブラウ展のチケットが余ってい るので、当日の参加者から五名様に差し上げます。また、みんなのこたつの作者ともやりとりをしていて、当日来ていただけるよう交渉を継続しているところで す。ダメならダメで、結果の概要は報告します。
http://news-sv.aij.or.jp/jnetwork/scripts/view30.asp?sc_id=2372
・ さて、mosakiもふだんは最近の仕事紹介のブログになっていたところに、めずらしく入魂のテキストが書かれたように、こたつ問題は、批評をドライブさ せる装置になっている。紙メディアの古参で「権威」とされる、新建築が送りだす越後妻有トリエンナーレのレビューは、エレベータ・ミュージックのような公 共的なテキストだが、これこそが「正しい」批評なのだろうか?(当たり障りはないけど)。ネット上の反応を見て、おもしろいと感じたのは、どうも若い人の ほうが、批評について保守的なイメージをもっていること。最近の紙メディアの言説がモデルになっているのかもしれない。が、メディアが異なれば、言説のあ り方も変化する。今はともかく、twitterもいずれそういう可能性を導くかもしれない。『都市住宅』や『批評空間』のような言説がないから(今の若い 人は両方知らないも。なら、『新建築』や『10+1』ということで)、新しいメディアはダメだという、既存のモデルに頼った思考は嫌いだ。僕が彦坂さんの ブログで建築系ラジオはパンクだと書いたら、すでに名前が出た人にパンクはできないと反論があった。しかし、おじさんにはパンクができないという意見こ そ、あまりにもおじさん過ぎて、笑ってしまう。そう、笑いこそ、おそるべき破壊力と伝染力をもっており、だからこそ、こたつ問題の配信は紙メディアにでき ないことを送り届けた。詳しくは、28日に話します。
「*下記、実質的には、こたつ問題リターンズとなる企画です。彦坂さんのトークの後、公開された全体討議として、美術と建築と批評とメディアの状況について語りましょう。ブログやtwitterでも、(配信したこと自体についても)いろいろな発言、批判があるので、彦坂さん、建築系ラジオのメンバーに直接、意見を述べていただければ、と思います。

*「カルチべートトーク」(第4回)
主 催:建築文化事業委員会
テーマ:アーティストの彦坂尚嘉さんと語る、
    こたつ問題1970〜2009/建築と美術のあいだ

主 旨:
 時流とは関係なく本当に聞きたいこと、必要とされる知識、いま聞いておかなければ聞けなくなってしまいそうな話などを、少人数でもよいからそんな文化を共有・継承したい、という主旨で始まった日本建築学会建築文化事業委員会の委員が運営するトークシリーズの4回目です。
 1946年生まれの彦坂尚嘉は、1969年に美共闘を結成し、床にラテックスをまくフロアイベントや幾何学的なフレームをもつウッドペインティングなどを手がけ、ヴェネチアビエンナーレサンパウロビエンナーレにも出品した作家である。各種の展覧会や美術論の著作などによっても、戦後日本美術史において重要な位置を与えられている。そして彦坂は、建築の分野にも強い関心を抱き、近年は皇居美術館空想のプロジェクトや越後妻有トリエンナーレを通じて、美術を越境するような活動を展開している。そこで40年の活動の軌跡を通じて、美術と建築の関係について語っていただく。
  また彦坂はアーティストとしては珍しく、歴史を重視する立場をとり、歯に衣をきせぬ美術評価の物言いでも知られている。おそらく、それは10年程度のパー スペクティブだけで議論を構築したり、耳障りのいい言説しか知らない若年層に対しても、破壊的な批評力をもつだろう。後半は、建築と美術が参加する越後妻 有トリエンナーレ2009の出品作を素材にして、両分野の現在について検証し、批評とメディアの状況もあぶりだす。また通称「こたつ問題」と言われるト ピックについても触れて、参加者からの意見もいただきながら、幅広く、討議を展開したい。彦坂のフロアイベント(1970-75)は、現代美術としては初 めて畳やこたつを含む家具を用いた作品であり、会田誠のこたつ派などの事例も挙げながら、建築と美術のあいだを考えていく。
 なお、今回は会場にて、Twitterを使っての議論の参加も歓迎する。

担当:建築文化事業委員会委員:五十嵐太郎

講  師:彦坂尚嘉(アーティスト)
期  日:2009年9月28日(月)
時  間:18:00〜20:00
場  所:建築会館会議室(東京都港区芝5-26-20)
定  員:30名(申込先着順)
参 加 費:1000円
申込方法:E-mailで「①氏名、②所属、③連絡先電話番号、④第4回カルチベートトーク参加希望」と明記のうえ、お申込ください。
問合せ先:日本建築学会事務局 出版・普及事業グループ 鎌田
TEL 03-3456-2056 E-mail kamata@aij.or.jp」
「*愛知まちなみ建築賞の審査を行う。
・審査員の構成メンバーが微妙で、 明らかな街並み派(伝統的なデザインの記号があるだけで萌えるタイプ)と、(現代的なデザインのクオリティにこだわる)モダン建築派に分かれており、僕は 後者。今日は審査員で建築家が一人欠席したため、苦戦するかと思ったのですが、実際に見たことがある2つの住宅(若手の建築家による設計)をなんとか二次 審査に残せました。毎年、すぐれた住宅をなかなか二次に残せないので、もどかしいです。こたつ問題は、人によって受け止めかたはさまざまだと思うが、僕に とっては審査員としての立場が大きい。勝手に建築界を代表するな、という意見もあるだろうが、異なるジャンルの人と同席する審査の場に立つと、どうしても 考えてしまう。こんなひどいことをやっていると、「建築」の立場は悪くなると。もちろん、よけいなお世話だ、という嫌みをいう人はいるでしょうが、いかに 建築を社会に伝えていくかが自分にとってのミッションだと思っているので。」
「・それにしても、こたつ問題は、建築系ラジオが始まって以来のすばやいダウンロード数。四日で1700を超えたのは最速。トータル一位の五十嵐淳インタビューまでは到達しないかもしれないが、初速ではこれまでの記録だった大西麻貴インタビューを超えている。夏休み中で学生による直接的な口コミが鈍る時期にもかかわらず、この勢いは関心度の高さを示している。ブログよりも、twitterの動きの方が対応しているのも今らしい。you tubeもこたつ問題の動画が四日で800を超えている。」
「*建築系ラジオの第二部にて、緊急謝罪会見「こたつ問題」欠席裁判を配信しました。その他、you tube の動画など。反応も早い段階から出ています。
http://radio.tatsumatsuda.com/
http://www.youtube.com/watch?v=vRHOf_fnnT0
http://hikosaka2.blog.so-net.ne.jp/2009-08-15-2
http://www.musabi.com/key_t/archives/2009/08/15_2110.php
http://d.hatena.ne.jp/itu415/20090815/1250337656」

1685:こたつ問題 (Twisted Column)

「*建築系ラジオ+アートスタディーズによる越後妻有トリエンナーレの三泊四日のツアーを行う。
・2003年は一泊、2006年は二泊、今回は三泊です。ただ、2009年は、新しい建築も登場していないし、目玉となる大がかりなアートの新作も少ないために(新作の規模が小さい)、リピーターとしてはやや寂しい。継続して参加している彦坂尚嘉さんの田麦のプロジェクトは変奏させながら、作品を展開し、古民家を解体させるほど、建築的になっていく。日没後にランプで照らされた光景はデヴィッド・リンチの 映画に出てくるような、ぞくぞくする闇に浮かぶ異空間キャバレーとなる。杉浦久子さんの雪ノウチも三度目で、まわりの敷地の変化を思いだしながら、鑑賞。 越後妻有を繰り返し訪れることで、ああこの空き地にあの作品があったとか、今度は作家がこうした手法になったとか、記憶との関連で楽しめるようになった。
・廃屋×アートによるお化け屋敷的な展示は、定番となったが、今年はアンティエ・グメルスが ブナ林を妖怪の空間に変えていた。木村吉邦による江戸のオルタナティブ・テクノロジーをテーマにした理系アートは、越後妻有的ではないが、好みでした。な お、工場跡地に展開した瀧澤潔さんの作品「津南のためのインスタレーション ーつながりー」には、「表層と現象:瀧澤潔のインスタレーション」というテキ ストを寄せました。現地にて配布しています。
・さて、あまりこういうことは書きたくないのだが、mvrdvの農舞台の真横にある大杉哲也+伊藤友隆/pop-up-tokyoの「みんなのこたつ」は、とても良くなかった。個人的に、tepcoの 「アイデア」・コンペの審査員として彼らの案を二度も入賞させたことがあり、そのプレゼンテーション能力の高さはすばらしいと思うのだが、その一方で実際 にモノをつくるという現場においてすさまじい乖離を露呈している。出来ないこと/こだわりがないことを提案するのも良くないし、それを公募で選ぶのもまず いかもしれない(自省をこめて)。なぜ、この作品がまずいのか、いや建築界の問題でもあるのだが、これについては建築系ラジオを収録したので、後日配信し ます。とりあえず、これを「こたつ問題」と呼ぶことにした。」